あの日には帰れない、たくもない

もともと、フェスとか、ライブとか、苦手だった。何千人、何万人がひしめき合うなんて、想像するだけでゾッとした。

 

スポーツ観戦は、好きだ。でも、満員の観客は嫌いだ。観客席がスカスカのスポーツを観に行く。となると、大学スポーツだ。大学野球で一番人気のある早慶戦でさえ、学生席を除けば満員になることはない。勝ったほうが優勝だ、と言った時別な試合以外は。

 

その他の試合なら、神宮球場の外野席はガラガラだ。外野席は65歳以上は無料なので、そんなジイさんばかりだ。子どもも無料。特に暇な団塊の世代がほとんどだ。お金を払って外野で観戦している人は、少数だろう。でも、空いている外野は、とても居心地がいい。晴れた春などは最高だ。

 

野球以外だと、大学サッカーだ。関東大学サッカー1部リーグは、板橋の国立西が丘サッカー場で何試合かやる。とても古いサッカー専用競技場だ。となりは、トレセンと呼ばれている国立のトレーニングセンターがある。ここ数年、母校は2部だったので、西が丘サッカー場での試合はなかった。今年は1部に昇格したので、西が丘へ行くつもりだったが、このコロナ事件によって中止になり残念。

 

1部の試合でも、観客は圧倒的に少ない。高校サッカーの準決勝、決勝などは超満員になる。入場するために長蛇の列になる。高校野球もそうだが、高校スポーツは人気がある。大学スポーツは人気がない。だから、大学スポーツを観に行くのだが。西が丘サッカー場のバックスタンドなら、ガラガラ。ここは、ピッチと観客席との距離がものすごく近い。それもいい。

 

これからのコロナ時代は、もうむかしには戻らない。戻れない。神様が、きっと、人が不自然に大観衆となることをやめさせたのだろう。何百人、何千人、何万人が、同じ場所に集まるなんて、どう考えても不自然だ。フェスで、何万人がアーティストと演奏に合わせて、みんなが同じ手の振りをして熱狂するなんて、怖い。まるで、教祖様だ。ドームが満員になったことを声高にいう時代は終わった。

 

もうあの時は戻らない。あの日に帰りたくても無理だろう。