高速鍋振りチャーハン

朝から忙しい日でした。疲れました。朝、昼とサンドイッチ。こんな日の夕飯は、がっつりいきたくなるものです。とはいえ、二郎ではない気分。米を欲しています。体が、米を。だいたいは、ビールだ!ビールだ!なのですが、きょうは違いました。

となると、あの店か。最近、復活通いのお店です。若いころには、ずいぶんお世話になっていましたが、最近は、たまにでした。若者の街なのですが、その街のある地区だけは、オジさんたちを優しく受け入れてくれています。焼き鳥屋が軒を連ねる地区。ま、もともとは、このへんが、街の中心だったんですけどね。

値段も高くオシャレな店員さんのラーメン屋(わたし、あんまり、好きじゃありません…)も乱立する中、その店は、繁華街の場末にある昭和中華のオーラを匂わせながらの店構えです。商店街の街中華ではなく、酔客や客引き、外国人、様々な人間が行き交う繁華街のど真ん中。外の券売機でチャーハンを選択。そうです。今夜はチャーハンの気分。

お世辞にもきれいとは言えない店内は、野郎率90%。おひとり様の女性戦士がタンメンを食していらっしゃる以外は、野郎だらけです。カウンターに座り、食券を渡す。570円。この街でこの値段は、ハッキリ安い。その食券を確認したオヤジさんBが「チャーハン!」とオヤジさんAに伝えます。

ほんとに狭い厨房には50代くらいのオヤジさんABCが3人。イタリアンならオープンキッチンというのでしょうが、ただのむき出しの厨房です。きょうのわたしの席は、オヤジさんAの鍋振りを真横で見られるベストポジション。ガッチャンガコンガコンガッチャンガコンガコンと振られすぎて姿がすこし変わった年季の入った鉄鍋。

蒸気機関車の肌を思い出すようなまっ黒な鉄鍋が白い煙を上げはじめました。ラードを入れ、おたまですくった卵、つづいて米と具材をたたき入れ、ダイナミックにオヤジさんAが振り始める。おもいっきり音を立てながら中華鍋を振るう姿がかっこいい。その音すらかっこいい。何千何万回も繰り返してきたにちがいない鍋振りは、まさに伝統職人の域。感動的です。

このタイミングで、すでにスープは到着。ラーメンのスープと同じものでしょうね。オヤジさんAの高速鍋振りの動きが止まりました。完成です。空中に舞ったチャーハンをお玉でふわっと受け取り、ひょっいっと皿に盛られます。チャーハンの登場です。ここまで約5分。あいかわらず、はやい。

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卵、焼豚の切れっぱし、ネギと、シンプルな具材だけ。沢庵が添えてあります。しっとりとパラパラの中間か。日本の米の特性を知っているからなんでしょうね。街中華のチャーハンの中心から、ほんのすこしはずれているかも。その味付けは、けっこう濃いめ。でもきょうは、疲れた体が欲しがっていた味。好みはあるでしょうが、とにかく今夜はドストライク。

ああ、おいしかった。ごちそうさまでした。