コピーライターのワカゾーだったころ。

金曜日の夜、若い頃にお世話になっていた広告会社の、先輩方との飲み会があった。ミニ同窓会とでもいう感じの集まりだった。その会社は、小さいけれど、個性的だった。全社員の3分の1がクリエイティブだった。コピーライターもデザイナーも、優秀な人が多かった。OBには、いま広告業界を代表するクリエイターがいる。名前を出せば、業界の人ならだれでも知っている方たちだ。その会社は、学校のようだった。いい意味で、サラリーマンではなかった。夜中まで、制作に没頭した。いまなら、労働基準局から指導が入るレベルだろう。仕事を切り上げるのは、深夜の0時過ぎ。最終で帰れるのに、帰らない。そこから、飲みに行く。そこで、広告クリエイティブの話を熱くする。おたがいにダメ出しもする。毎晩、それが繰り返される。飲んで、語って、飲んで、語る。クリエイティブの未来。給料は安かった。でも、毎晩、飲んだ。そうすることが、いいクリエイティブにつながるんだと信じていた。ダメな人間かもしれないけど、魅力的な仲間だった。