真逆の男。

コピーライターという仕事について、いまさら考えている。


私がコピーライターになったのは27歳。大学4年のときには広告業界のことすらまったく知らなかった。電通博報堂の名前も知らなかった。そんな私が小さな広告代理店に新卒で入社したのだが、なぜそうなったかはまたの機会に話したいと思いますが、同期入社のS君との出会いがなければ、コピーライターにはなっていないでしょう。


彼は制作局に配属されてコピーライターになり、私は希望通り営業になりました。それは、当然のなりゆきでして。私はコピーライターという仕事をまったく知らなかったのですから、希望するはずもありません。なぜだか、S君とはウマがあって、よく仕事帰りに飲みに行ったりしたわけです。そのときに、彼から、コピーライターという仕事の素晴らしさを熱く語られたのでした。


そのときは、ふーん、へー、そうなんだ、といった感じで興味がないというか、自分には関係ないというか、話をただただ聞いていただけでした。コピーライターという仕事は、どうやら言葉にかかわる仕事らしいことはわかりましたが、私がずっと言葉コンプレックスを持っていた人間だったので、なおさら自分とは関係ないと思っていたわけです。


小学生のころから国語の成績がわるかったからかも知れませんが、とにかく本も嫌い、文章を書くのは大嫌い、なのですから、コピーライターとは真逆な男なのでした。そんな男が、とうとう出会ってしまったのです。それが…つづく